ある日突然、法務局から郵便が届いたら?
身に覚えがないし、気持ち悪いので放っておこう!・・・悪徳業者による詐欺事件が横行する昨今において、そのようにお考えになるのは当然だと思います。でも、郵便を捨てる前にちょっと立ち止まって、中身を確認してみてください。「長期間相続登記等がされていないことの通知」(お知らせ)と書かれていたら、それは法務局からの正式な郵便物です。
法務局からの通知の正体
日本では、近年長期間相続登記をしていなかったために現在の所有者が分からなくなってしまった土地が急増しています。そのため、いざ土地を利用しようとした際に手続きを進めることが出来なかったり、災害発生時に復旧作業の妨げになったりと、様々な問題が発生しています。その問題を解決するため、平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」という法律が公布されました。その法律の中で、30年以上相続登記がされていない土地について法務局が相続人の調査を行い、相続人のうち1人に通知書(お知らせ)を送って、相続登記の手続きをとってもらうように促すことが定められました。この記事の冒頭に出てきた「長期間相続登記等がされていないことの通知」という郵便物が、そのお知らせにあたります。
相続登記手続きのご相談は司法書士へ
では、そのお知らせを受け取ったらどうするべきでしょうか?
まずは法務局や、司法書士の事務所にご連絡されてください。そして、これを機会に相続登記手続きをとることをお勧めします。
「長期間相続登記等がされていないことの通知」は、簡単に言うと、①ある土地について長年相続登記がされていません。②あなたはその土地の相続人の1人です。③これを機会に相続登記をしてもらえませんか?というお願いの文書です。ですから、少なくともこの記事を書いている令和2年9月時点では、放っておいたとしても罰則があったりするわけではありません。(逆に、罰則金があります、といった金銭を請求するような内容の記載があれば詐欺です。)しかし、その通知書を受け取って相続登記をしないのはもったいないとも言えます。
その理由は、相続登記に必要な戸籍等の書類の大半を法務局が相続人の代わりに取得してくれており、法定相続人の一覧図まで作成してくれているため、通常の相続登記手続きに比べてかかる手間と費用が大幅に減っているからです。相続登記手続きをとるには、相続人全員で遺産分割協議をする必要がありますが、法務局が作成した法定相続人の一覧図から相続人の住所や名前も確認出来ますし、法務局から通知が来た、ということで他の相続人の方への連絡も取りやすくなるでしょう。
「長期間相続登記等がされていないことの通知」を受け取られたら、是非前向きに相続登記を検討されてみてください。